死に近づくものが生まれてきたものに物語る。物語のはじまりは、人と馬。互いを追い掛け、追い越し、追い掛け、追い越し...。果てに一体となる。「馬娘婚姻譚」。Homi=人、Cevalo=馬。「人馬」の意。
場を清める声。場を立ち上がらせる唄。ユニゾンの揺らぎ。
音を投げかけ宙に留める。飽和した空間にさらなる音を投げかけ穴をあける。「天の穴」の意。
溶ける音を発し、発した音を溶かす。抜けていく最初の部分。
再び清めの唄。場を切り開く、呼吸の交換。ユニゾンのずれ。
はじめの朝。祝いの色。笛の音と壷の音、場を踊らせる。生の豊饒。ハーモニー。
満ちゆく月、満ちた月、欠けゆく月、三日の姿消し。月がもたらす力。循環。潮。
畏れと敬い。祈り。
彼方。交信、繋がり。自ら赴く。
赴くものに贈る唄。北。虚無と真如。
太鼓が導く波、渦、鳴り。力に満ちた大海、鳴り響く雷鳴。空と海の子ども。
崇高な野性。河のようにしなやかに、山のように気高く。内なる野性。
次から次へ。止めどなく押し寄せる新しい波。大地を蹴り震わせ呼び覚ます新しい息吹。祝祭。「大きく振れ、小さく振れ」「大きく揺れろ、小さく揺れろ」の意。
虹の蛇、色の誕生、細胞、新しい命の誕生。生まれた記憶、生まれる前の記憶。「虹」の意。
生み出し吸い取るもの。やって来た場所、還っていく場所。自分を自分足らしめさせてくれる存在に恩礼を返す。「母」の意。
生きるものに贈る唄。死んだものに贈る唄。どちらでもないものに贈る唄。「野原」の意。
楽曲解説:高木正勝